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Utopia In Apocalypse
- Tadataka Sudo
- アポカリプスのユートピア/須藤忠隆
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- Format
- 44.1kHz/16bit
- Release
- 2021-07-31
TRACKS
Tadataka Sudo, who plays in the band Mikaduki Settodan, recorded this solo album after Corvid-19 started.
I invited guests : Yui Saito (vocals) , Banri Fukuyama (steelpan) from Mikaduki Settodan, Tomoki Sanders (sax), whose father is Pharaoh Sanders, Nire Enoki (vocals) - home recording artist, Kiyokazu Onozaki (vocals) from Andersens, and Soichiro Nakamura (mastering) from peace music,
And this work was an attempt to take a different electronic approach from the band.
Tadataka Sudo
バンド・三日月窃盗団で活動する須藤忠隆がコロナ禍に録りためたソロ作。
ゲストには三日月窃盗団から齋藤有意(ヴォーカル、)福山伴理(スティールパン)、そしてファラオ・サンダースを父に持つトモキ・サンダース(sax)、宅録アーティスト榎木にれ(ヴォーカル)、アンデルセンズの小野崎清一(ヴォーカル)、piece music中村宗一郎(マスタリング)らの力を借りて、バンドとはまた違うエレクトロニックなアプローチを試みた作品になった。
須藤忠隆
ようこそ!「Utopia in Apocalypse」へ!
中世の天狗は、羽うちわを持って雲に乗り、大空を矢よりも早く飛びまわって魔物を打ち払い、
厳しい修行によって身につけた術を使って重い病人を救ったり、天候を予知して作物の豊凶を占ったりして、人々に幸せをもたらした。
旧石器時代には様々な石によって石器が作られたが、その中に水晶を使った石器があった。
水晶は石器製作には不向きだったのだが、それでも旧石器時代の人々は水晶で石器を作った。
ある時、天狗は自分の祖先が水晶で石器を作っていた事を知り、雀に訪ねた。
「なんでったって大昔の人は水晶で石器を作ったのかね?僕は殆どなんでもできるんだが時空だけは飛び越えられないもんでね。秘密を知りたいのさ。」
雀は暖かい訛りを含んだ話し方でこう答えた。
「あら天狗さん。それはたった一万年くらい前の出来事よ。とは言っても、私が言葉を覚える前の出来事ね。人々は必死に道具を作るための石を探していたの。
私は川原に綺麗な綺麗な透明の石がある事を知っていたから、それを知らせるためにピーピー鳴いて回った。そしたら少しずつ人々が私の後をついてきて
、終に水晶を見つけたのよ!」
参考文献:
笠間市の昔ばなし/笠間市文化財愛護協会
仙境異聞・勝五郎再生記聞 /平田篤胤著・子安宣邦校注/岩波文庫
須藤さんは茨城県笠間市で陶芸を生業に暮らしていてる。
県内を拠点に活動している「三日月窃盗団」という音楽グループのリーダーでもある。
満を持してのソロアルバムのリリースに添えて、少しだけ僕の文章にお付き合いいただければ幸いだ。
このアルバムの背景を簡単に探る事はできないのだが、幾つかのキーワードが出た。
夢。
得体の知れない巨大な塔、奥深い鉱山にある炭鉱、かつては栄えていたであろう遊郭の跡地。
繰り返し現れては消えるモチーフ。
エキゾティズム。
自分が立っている「ここ」。あなたが立っている「そこ」。
物理的距離はあるが、想像すれば距離はない。
時代性。
作る事を受け継ぐ事。
どういう物であれ「自分自身が新しくなれる事柄」を希求・追求する事。
改めて本作「Utopia in Apocalypse」を聴くと、とてもモダンな音作りであると同時に不思議な土着性・民俗性・祝祭性を感じる。
この感覚は何なのだろうか。
自分が立っているコンクリートやアスファルトが剥がされて、地層の奥深くのマントルをきちんと踏んでいる様な感覚。
しばらく忘れていた感覚だからこそ今、こんなに響いてくるのかもしれない。
人間は勿論、生まれた時代の文化や様式を纏う。
生まれた時代が違えば、石器を作っていたかもしれないし、天狗になるために山で修行をしていたかもしれない。
そして、同時に変わらない部分もある。
須藤さんの音楽とは、そうした人間の不変の営みの一部であり、そこからは様々な時代の様々な人たちが交わした「ひそひそ話」が聴こえてくるかのようだ。
そして、少しでもこの音楽を聴いて興味を持った方がいらしたら、三日月窃盗団を聴き、須藤さんの陶芸作品も手にとってみてほしい。
きっとワクワクするよ!
つびー
須藤忠隆 / アポカリプスのユートピア
Tadataka Sudo / Utopia In Apocalypse
1,逆さの夜 inverse night
guest:トモキ・サンダース sax
2.トラツグミ、駆ける flying toratsugumi
3.ユーラシアカモメ eurasia gull
4.カンカン娘 Kankan Musume
guest:榎木にれ コーラス、小野崎清一(アンデルセンズ) / コーラス
5.ぽやぽやみなみ spring breeze
guest:トモキ・サンダース / sax、 齋藤有意(三日月窃盗団) / コーラス、小野崎清一(アンデルセンズ) / コーラス,
福山伴理(三日月窃盗団、ザ・ハンチング) / steel pan
6.luminous ripples
7.people dance in star
guest:齋藤有意(三日月窃盗団) / コーラス、小野崎清一(アンデルセンズ) / コーラス,
福山伴理(三日月窃盗団、ザ・ハンチング) / steel pan
8.夜の魔物
night phantom
guest:トモキ・サンダース / sax、 齋藤有意(三日月窃盗団) / コーラス
9.nomadic moon
guest:トモキ・サンダース / sax、 齋藤有意(三日月窃盗団) / コーラス、小野崎清一(アンデルセンズ) / コーラス
10.アポカリプスのユートピア
Utopia In Apocalypse
Art work:須藤忠隆 Mastering:中村宗一郎