NOTES

Until It's Gone

Koji Maekado
Format
44.1kHz/16bit
Label
minna kikeru
Release
2019-12-25
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TRACKS

1 We Are in the Hands of the Future
僕らは未来の手の中
00:03:13
2 Go Ask Alice
アリスに訊きに行け
00:02:01
3 In a Corner of the Page Left Behind (R.I.P. Mark E. Smith)
遺されたページの片隅で
00:01:56
4 Techno Pop is NOT Dead
テくのポップ のット、でッド
00:00:35
5 A Day to Go See a Demolition Show
解体ショーを見に行く日
00:02:33
6 An Advertising Balloon Monitor on Top of the Burial Mound for Heads
首塚の上のアドバルーンの監視業
00:02:09
7 The Universe Is a Fragile
宇宙はこわれもの
00:02:20
8 Let Me Hear the Modern Romance
モダン・ロマンスをきかせて
00:01:03
9 We're All in a Dream
みんな、ゆめ、の、なか
00:02:33

This is a shocking home recording by Koji Maekado, who contributed the entire album for the first time to the series of our radio program 'Kikeru Radio #8 Special'! It starts off with some improvisation on a unplugged guitar and a simple narration, and while the simplicity of the music is so interesting, the patterns of the songs are rich and the development is always unexpected. His influences and aims are all shrouded in mystery, but this is a contemporary work that reminds us that music is by its very nature personal and therefore social.


シリーズネットラジオ'Kikeru Radio #8 Special’ になんとアルバム丸ごと初音源投稿された、マエカドコウヂによる衝撃の宅録作品が公開です!

生音ギターのペチペチした即興プレイと素の語りから始まり、そのシンプルな中に見出される面白さもさることながら、曲のパターンは豊富で、常に予想外の展開を聴かせていきます。受けた影響、そして、自身の狙い、など全てが謎に包まれていますが、音楽とは本来非常に個人的なもので、また、それ故に社会性も持つことを思い起こさせる、現代的な作品であると言えます。


プロフィール: 中学生時分、兄の部屋にあったエレキギターを手にし「これだ!」と思う。 以後、「_」名義で約10年間、自室にこもってインストゥルメンタル作品を作り続ける。 次第にうたをうたいたいと思うようになり、2018年より「マヱカドコウヂ」名義で活動、ライブを行う。 「旧帝国の地図」、「BIG COCK INTERNATIONAL」名義でも活動中。



「僕らは未来の手の中」


運命論者じゃなくたって

いつかきっと君にも

わかってもらえるさ


さよならだけが


あまりにも突然に

ぼくたちはこわれていく

それならば今ここで


さよならだけが


僕らは未来の手の中

見えざる大きな手の中



「アリスに訊きに行け」


プエルトリカン・ゴーストが啜泣く横で

焦げ付くような午前5時の陽差しが

西日暮里のホテル「エーゲ海」で

閉ざされた窓の小さな隙間から

こびり付いた泡が冷えた風に舞って

割れた舌が誰のものともなく

アルコールの煙が薄められた

騒音のあとに大して変わり映えのしない雨が

静かに打ち付ける音に耳を澄ます


飲み干せないほどの血のミルクに足を浸して

忘れられた受話器の声が遠くで響いている中

その手紙はもう届けられたと

地球の裏側から不在通知が

履きなれない靴の紐をほどき

紫色のネオンの下でかすかに滲んだ

似つかわしくない造花が一輪

内ポケットに居心地悪そうに佇んでいる

トーマス・リチャード・ギルヒムは

革命より愛をと後ろ指を指されて死んだ

瞼の裏に夢の向こう

灰皿にくすんだ一筋の涙


消息不明のアリスに訊きに鏡へ入って14番街へ


→14へ進め。



「遺されたページの片隅で」


人から言葉を盗んでは

売りさばく職に就いています

たぶん僕は溺れて死んでしまうでしょう


青くて深い真夜中の砂漠

スフィンクスの前に寝そべって

静かにピアノの音を聴いています


聴こえる

聴こえる

確かに聴こえる

真夜中の冷えた砂漠で

トカゲが立てる足音と

かすかにピアノの音が

そして貴方の声が


遺されたページの片隅で

躍る音符は何を伝えようとしているんだろう

貴方の言葉は何を伝えようとしているんだろう


遠いな遠い遠くて遠い頁の向こう、ほんのわずかに貴方の影が見える

きっといつもみたいに悪態を吐いているに違いない

そうだろう、きっとそうだ

僕はそれを見て少し笑って悲しくなって


死んだ人のことは、もう忘れましょう



「テくのポップ のット、でッド」


パパテクノ

ママギタァ

エレクトロニクスの東芝と

稲垣足穂とTALBOとDEVO


僕はシンセサイザー


テくのポップはのット、でッド!!!!!!!!!!!!!




「解体ショー

を見に行く日





かつて地球は赤かった。

解体ショーを見に行く日。



肩書が詩人の売春婦

髪の色はブルージュ

うつろな目の猫が

脛を擦る


煙草の煙をくゆらせて

トマトで人を狙撃する

サラリーマンのまばゆいほどに白く輝くYシャツに広がる赤

それがトマトの汁なのか血なのか

どちらでもいいけど

丸の内のオフィスから血が流れ出す

それをコーラの瓶に溜めてユケツをしよう

それでだれもすくわれないといいよね


赤だ。

あの赤だ。

あの時見た赤だ。

うんざりするほどの赤だ。

目がこちらを見ている。

詩人でもある売春婦は、

それを言葉にして逃げようとするのだけれども、

その場の全てが解体されていく。

ばらばらになってほどけていって何もできない。

目が。目が見ている。

だけれど縛りつけられて離れることができない。

あの目がじいっとこちらを見ている。

その間も解体は続けられる。

赤が広がる。

あの赤、あの視線。


それから


MX-80 Soundの「Promise of Love」を聴きながら

ある日ふと思い出したりする

シルトの岸辺で 琵琶湖のほとりで



「宇宙はこわれもの」


地球を背にして今日も眠る

視線は中空に向けられる

やがて重油の色からぼんやりとした色が広がる

それは地下に咲く虹

湧きあがる煉獄からの光

ぽつりぽつりと音を立てながら見ている

地下からの雨が咲かせる虹を


Everything You Know Is Wrong.

「マーブルマッドネス」が

1984年から送り続けるメッセージ


月の調べに目が冴えて

空を飛べる気はするが

そんなことに何の意味があるのか

暗いところをとぼとぼと歩く方が

僕にはお似合いって事だよ


ぽつりぽつりと立ち上る雨が

だんだん強くなってきて

コンビニから拝借してきたビニール傘を

地面の柔らかい所へと突き刺す

そして宇宙はこわれもの

罅から束が溢れだす!



「モダン・ロマンスをきかせて」


タイムカプセルの中で死んだフリ

カセットテープを片手に夢を見る


君は冷たい土の上

暴力的なボーイフレンドの横で鼻血を流してる


僕がいつか死んだフリに飽きたころ

もしも君が生きてたなら

いつか聴いたソニック・ユースをバックに

モダン・ロマンスをきかせて



「みんな、ゆめ、の、なか」


あなたの

ことばと

こえと

からだの

さかいめが

あいまいになって

わからなくなって

おもいだせなくなって

それはまるで

うそのように

うそでした


あなたは

とおく

とおく

うまれるまえから

うまれていました


ことばが

こえが

からだが

ありました


あなたの

ことばと

こえと

からだの

さかいめが

すこしずつ

すこしずつ


ゆめのなかにいるようです


つぎのかどを

みぎにまがって

ゆめからさめたら

さようなら