TRACKS
Performed by Tenniscoats
Saya さや , Takashi Ueno 植野隆司
Recorded at Creative Center Osaka
Mixed, Mastered by Ueno
Photo by soma
majikick2025
大阪・北加賀屋のクリエイティブセンター大阪にて、9/19(金)・20(土)・21(日)の3日間(初日は前夜祭)、開催された「DESIGNEAST(今回9年ぶり、9回目となるデザイン&建築を軸としたプロジェクト。以下DE)」。
この音源は、9/20(土)・21(日)の2日間、さや(Vocal, Key他)と植野隆司(Guitar, Sax, Vocal他)からなるバンド、テニスコーツが、会場をあちこち往来し、さまざまな場所・時間にパフォーマンスを行った、その記録でもある。今年のDEのテーマ「IKIKIIKIIKI(いきき・いきいき)=相反するものがともに息づき、往来する豊かな状態」について考えながら、音楽だからこそ接近できる「関係的な」あり方を探っていった。
最終日、パフォーマンスとその録音を振り返りながら行ったテニスコーツのトーク書き起こしを、ここに掲載。相槌役は、DE音楽企画担当の永江大。
* * *
永江:スピーカーズコーナー、始まります。タイムテーブルにはないんですが、今回DESIGNEASTのなかで、2日間、テニスコーツという音楽ユニットに会場のなかをうろうろしてもらいました。見かけた方もいるかなと思います。いろんなところでパフォーマンスをしてもらっています。DESIGNEASTのテーマが「IKIKIIKIIKI(いきき・いきいき)」ということで、テーマに合わせて参加していただきました。最初に、参加してみての感想から聞きましょうか。
さや:じゃあ、いきましょうか。さやと……
永江:あれ…なんでしたっけ……?
さや:永江の……もう1回! DESIGNEAST、さやと…
永江:永江の…
さや&永江:トークコーナ〜。
(会場拍手)
植野:ははは、ひどい(笑)。
さや:どうでした? 参加して。
植野:今流しているのは、今日の昼間の2階あたりを歩き回っている音なんですけど。
さや:このビルの2階ですね、今日の昼の。聞こえるかな?
(音源を聴く)
植野:あまり演奏してないね。ちょっと飛ばしてみますか。
永江:最初は、会場のあちこちに色々なコンテンツがあるので、その合間を縫って演奏してもらったり、音を出したりを想像していたんですけど、同時に録音もしてた?
植野:そう、転んでもただでは起きないように録音もしといたんですよね。何しろタイムテーブルに「11時〜20時半まで」って書いてあったから、そんなタイムテーブル見たことないし、丸投げもいいところだと(笑)。昨日からいろいろやっているんですよね、さやさん。
さや:これ、どの場所かわかりますか? 早押しクイズです。
植野:逆に俺に聞いてる(笑)?
さや:わかった? 2階の椅子をつくるワークショップのところ。ここで自分の好きな椅子をつくれたんですよね。
永江:そうです。サンダー・ワッシンクさんというデザイナーの方と。
植野:今俺が座っている、これとかですよね。
さや:その(つくる)音と、セッションというのかな。一緒に演奏するみたいな。ちょっとこれは聞き取りづらいかも。
植野:一度止めます。今日、歩きながら演奏していたなかで、最後にただ俺がギターをジャーン、さやがわーって言いながら歩き回った音源があったんで。
さや:それは録れてた?
植野:録れてましたね。
さや:やった。
(音源を聴く)
植野:椅子をつくっているところからスタートして。どうですか?
さや:これくらいやっていても、作業に集中している方はずっと手元に集中していたので、(演奏に)気づいていないないかもしれない。
植野:ああ、そうかも。
さや:周りで演奏していても。
永江:本当に30cmくらいの距離で歌ったり録音したりしていますもんね。
さや:それって面白い? 私たちは、それがすごく面白くて。さて、録音すると何が面白いでしょう?(トークを聞いている来場者に向けて)
植野:うはは(笑)。
さや:どうする?
植野:今やっていることの一番面白いところは、個人的にはこのふたり、多分トークがめちゃめちゃ苦手なんですよ(笑)。
来場者:録音すると会場にいた時には気づかなかった音が入っていることに気づく、みたいな。
さや:正解!という正解はないけど、
植野:何言っても正解だった。
さや:私もそう思っています。イヤホンをして録音して歩くのと、普通に歩くのと全然違うというか、すごくよく聴こえるから。人間の耳のフォーカスの仕方と、機械が拾う範囲も随分違うし、そう、虫になったような気持ちがするというか。
植野:録音の面白いのは、現実だと今回演奏してもらっている時は、みんなのBGMなんです。偶然通りかかった音で。でも録音だけ聴くと、みんなの方がBGMなんです。逆転しちゃうんですよね。で、ちょっと面白いことをやっていて、ここでトークしている時に、あそこのドリンクの裏で演奏した音源がありまして。それに至っては誰も聞いてないはずなんです。そうそう。トークの最中にこんなセッションをしていました、っていう。
(音源を聴く)
さや:ふーい! ふーい!
植野:なんですか?
さや:これに乗せたらどういう演奏かなって今思って。ベーシックトラックって言うんですけど、そのベーシックにじゃあ重ねるようかなって。
(音源を聴く)
永江:さっきのワークショップの部屋での録音みたいに、作業に没頭している人の隣でまた別の演奏をして、その、別の世界観をつくり出しているわけじゃないですか。全然違う領域というか。録音だと、そういった別々の世界の人が隣り合っているのを、音を通して聴ける。あるいは、現実よりもフラットに聴けたりする。現実は違って作業(音)の方が大きいけれど、録音では歌っている声の方が大きくもなったり。隣り合う感じが録音で実現できる、というのがすごく面白いなと思ってて。
さやさんと植野さんは、その録音に対してまた音を乗せていくとか、違う世界観を足していくとかそういうこともするわけじゃないですか。音楽って領域を乗り越えていくみたいなことができるんだな、とあらためて思いました。
さや:へえ〜。なんで今回のようなことをしてほしいと思ったんですか?
永江:15年くらいテニスコーツの活動を見ているなかで、録音された作品も聴いてはいるんですけど、どちらかというとライブパフォーマンスをよく見に行っていてて。すごい即興的だったり、周りの環境をうまく使ってそれを音楽に変えてしまったり、そういう力みたいなものをこの会場のなかでも見たいなと思ってお声かけしました。
植野:さやさんは困ると俺を見るのやめてください。
さや:(笑)へえ〜。そうですね。なんか勝手に何かうまいことをやるんじゃないか、みたいな。
永江:うまいことやるかもしれないし、ダメでもいいって言うとあれなんですけど。
さや:実験。
永江:そうですね、実験してほしいなというのは、ありましたね。
さや:ちょっとそれを感じて。これ実験的に放り込まれてない?みたいな。
植野:じゃあ、ここで階段の演奏を。昨日の階段の演奏です。
(音源を聴く)
植野:覚えてる? さや。
さや:鎖がかかっていてお客さんはそれ以上降りられないところの下で。結構埃っぽくて。座るところどうしようとか思ってた。
でも演奏している時は、あまり通る人もいなくて多分本当に数人でした。
植野:立ち入り禁止区域でやっているからね。
さや:そうそう、ちょうど本当に5、6人くらい。これ知らなくないですか?
永江:これは聴いてないですね、たぶん。昨日の何時くらいに?
さや:昨日の夕方くらいかな。
植野:どうぞ。
さや:もう結構しゃべった。
植野:(笑)さや、聞きたいことあったんじゃないですか?
さや:聞きたいこと、もう聞いたんですよ。何を思って呼んだんですかって。やっぱり不安があるのは、答えられているのかなとか。そう。でもきっと多分「好きにやって」っていう信用で言っているから、じゃあやりたいことやろうって。本当に興味がある、その音の中に入ることだったりとか、虫みたいにそこにいるっていうことだったり。それが通じているかわからないんだけど。
植野:じゃあ、もう今日は終わりすか? 最後にさやさんが歌います。
さや:違うんですよ。(会場に向かって)その、虫みたいにって通じます? それが心配。あ、通じました?
来場者:もうちょっとほしいです。
さや:あ、ほしい(笑)。えっと、虫みたいに……
植野:このダラダラトークを閉めるには、1曲歌って終わりがいいかなと思うんですけど。いいですか、さやさん。
さや:あ、いいです。
植野:はい。
さや:虫みたいになる感覚ってない? 私たちテニスコーツって言うんですけど、ユニットを、何十年もやっているんです。やっているんですけど、「虫みたいにやる」って言ったら、「オッケー」ってなって今日来たので(笑)。最初の打ち合わせでね。
Saya さや , Takashi Ueno 植野隆司
Recorded at Creative Center Osaka
Mixed, Mastered by Ueno
Photo by soma
majikick2025
大阪・北加賀屋のクリエイティブセンター大阪にて、9/19(金)・20(土)・21(日)の3日間(初日は前夜祭)、開催された「DESIGNEAST(今回9年ぶり、9回目となるデザイン&建築を軸としたプロジェクト。以下DE)」。
この音源は、9/20(土)・21(日)の2日間、さや(Vocal, Key他)と植野隆司(Guitar, Sax, Vocal他)からなるバンド、テニスコーツが、会場をあちこち往来し、さまざまな場所・時間にパフォーマンスを行った、その記録でもある。今年のDEのテーマ「IKIKIIKIIKI(いきき・いきいき)=相反するものがともに息づき、往来する豊かな状態」について考えながら、音楽だからこそ接近できる「関係的な」あり方を探っていった。
最終日、パフォーマンスとその録音を振り返りながら行ったテニスコーツのトーク書き起こしを、ここに掲載。相槌役は、DE音楽企画担当の永江大。
* * *
永江:スピーカーズコーナー、始まります。タイムテーブルにはないんですが、今回DESIGNEASTのなかで、2日間、テニスコーツという音楽ユニットに会場のなかをうろうろしてもらいました。見かけた方もいるかなと思います。いろんなところでパフォーマンスをしてもらっています。DESIGNEASTのテーマが「IKIKIIKIIKI(いきき・いきいき)」ということで、テーマに合わせて参加していただきました。最初に、参加してみての感想から聞きましょうか。
さや:じゃあ、いきましょうか。さやと……
永江:あれ…なんでしたっけ……?
さや:永江の……もう1回! DESIGNEAST、さやと…
永江:永江の…
さや&永江:トークコーナ〜。
(会場拍手)
植野:ははは、ひどい(笑)。
さや:どうでした? 参加して。
植野:今流しているのは、今日の昼間の2階あたりを歩き回っている音なんですけど。
さや:このビルの2階ですね、今日の昼の。聞こえるかな?
(音源を聴く)
植野:あまり演奏してないね。ちょっと飛ばしてみますか。
永江:最初は、会場のあちこちに色々なコンテンツがあるので、その合間を縫って演奏してもらったり、音を出したりを想像していたんですけど、同時に録音もしてた?
植野:そう、転んでもただでは起きないように録音もしといたんですよね。何しろタイムテーブルに「11時〜20時半まで」って書いてあったから、そんなタイムテーブル見たことないし、丸投げもいいところだと(笑)。昨日からいろいろやっているんですよね、さやさん。
さや:これ、どの場所かわかりますか? 早押しクイズです。
植野:逆に俺に聞いてる(笑)?
さや:わかった? 2階の椅子をつくるワークショップのところ。ここで自分の好きな椅子をつくれたんですよね。
永江:そうです。サンダー・ワッシンクさんというデザイナーの方と。
植野:今俺が座っている、これとかですよね。
さや:その(つくる)音と、セッションというのかな。一緒に演奏するみたいな。ちょっとこれは聞き取りづらいかも。
植野:一度止めます。今日、歩きながら演奏していたなかで、最後にただ俺がギターをジャーン、さやがわーって言いながら歩き回った音源があったんで。
さや:それは録れてた?
植野:録れてましたね。
さや:やった。
(音源を聴く)
植野:椅子をつくっているところからスタートして。どうですか?
さや:これくらいやっていても、作業に集中している方はずっと手元に集中していたので、(演奏に)気づいていないないかもしれない。
植野:ああ、そうかも。
さや:周りで演奏していても。
永江:本当に30cmくらいの距離で歌ったり録音したりしていますもんね。
さや:それって面白い? 私たちは、それがすごく面白くて。さて、録音すると何が面白いでしょう?(トークを聞いている来場者に向けて)
植野:うはは(笑)。
さや:どうする?
植野:今やっていることの一番面白いところは、個人的にはこのふたり、多分トークがめちゃめちゃ苦手なんですよ(笑)。
来場者:録音すると会場にいた時には気づかなかった音が入っていることに気づく、みたいな。
さや:正解!という正解はないけど、
植野:何言っても正解だった。
さや:私もそう思っています。イヤホンをして録音して歩くのと、普通に歩くのと全然違うというか、すごくよく聴こえるから。人間の耳のフォーカスの仕方と、機械が拾う範囲も随分違うし、そう、虫になったような気持ちがするというか。
植野:録音の面白いのは、現実だと今回演奏してもらっている時は、みんなのBGMなんです。偶然通りかかった音で。でも録音だけ聴くと、みんなの方がBGMなんです。逆転しちゃうんですよね。で、ちょっと面白いことをやっていて、ここでトークしている時に、あそこのドリンクの裏で演奏した音源がありまして。それに至っては誰も聞いてないはずなんです。そうそう。トークの最中にこんなセッションをしていました、っていう。
(音源を聴く)
さや:ふーい! ふーい!
植野:なんですか?
さや:これに乗せたらどういう演奏かなって今思って。ベーシックトラックって言うんですけど、そのベーシックにじゃあ重ねるようかなって。
(音源を聴く)
永江:さっきのワークショップの部屋での録音みたいに、作業に没頭している人の隣でまた別の演奏をして、その、別の世界観をつくり出しているわけじゃないですか。全然違う領域というか。録音だと、そういった別々の世界の人が隣り合っているのを、音を通して聴ける。あるいは、現実よりもフラットに聴けたりする。現実は違って作業(音)の方が大きいけれど、録音では歌っている声の方が大きくもなったり。隣り合う感じが録音で実現できる、というのがすごく面白いなと思ってて。
さやさんと植野さんは、その録音に対してまた音を乗せていくとか、違う世界観を足していくとかそういうこともするわけじゃないですか。音楽って領域を乗り越えていくみたいなことができるんだな、とあらためて思いました。
さや:へえ〜。なんで今回のようなことをしてほしいと思ったんですか?
永江:15年くらいテニスコーツの活動を見ているなかで、録音された作品も聴いてはいるんですけど、どちらかというとライブパフォーマンスをよく見に行っていてて。すごい即興的だったり、周りの環境をうまく使ってそれを音楽に変えてしまったり、そういう力みたいなものをこの会場のなかでも見たいなと思ってお声かけしました。
植野:さやさんは困ると俺を見るのやめてください。
さや:(笑)へえ〜。そうですね。なんか勝手に何かうまいことをやるんじゃないか、みたいな。
永江:うまいことやるかもしれないし、ダメでもいいって言うとあれなんですけど。
さや:実験。
永江:そうですね、実験してほしいなというのは、ありましたね。
さや:ちょっとそれを感じて。これ実験的に放り込まれてない?みたいな。
植野:じゃあ、ここで階段の演奏を。昨日の階段の演奏です。
(音源を聴く)
植野:覚えてる? さや。
さや:鎖がかかっていてお客さんはそれ以上降りられないところの下で。結構埃っぽくて。座るところどうしようとか思ってた。
でも演奏している時は、あまり通る人もいなくて多分本当に数人でした。
植野:立ち入り禁止区域でやっているからね。
さや:そうそう、ちょうど本当に5、6人くらい。これ知らなくないですか?
永江:これは聴いてないですね、たぶん。昨日の何時くらいに?
さや:昨日の夕方くらいかな。
植野:どうぞ。
さや:もう結構しゃべった。
植野:(笑)さや、聞きたいことあったんじゃないですか?
さや:聞きたいこと、もう聞いたんですよ。何を思って呼んだんですかって。やっぱり不安があるのは、答えられているのかなとか。そう。でもきっと多分「好きにやって」っていう信用で言っているから、じゃあやりたいことやろうって。本当に興味がある、その音の中に入ることだったりとか、虫みたいにそこにいるっていうことだったり。それが通じているかわからないんだけど。
植野:じゃあ、もう今日は終わりすか? 最後にさやさんが歌います。
さや:違うんですよ。(会場に向かって)その、虫みたいにって通じます? それが心配。あ、通じました?
来場者:もうちょっとほしいです。
さや:あ、ほしい(笑)。えっと、虫みたいに……
植野:このダラダラトークを閉めるには、1曲歌って終わりがいいかなと思うんですけど。いいですか、さやさん。
さや:あ、いいです。
植野:はい。
さや:虫みたいになる感覚ってない? 私たちテニスコーツって言うんですけど、ユニットを、何十年もやっているんです。やっているんですけど、「虫みたいにやる」って言ったら、「オッケー」ってなって今日来たので(笑)。最初の打ち合わせでね。

