Dance

This is the first sound source for Kenta Suzuki, who has been composing and performing music for use in the stage works he has produced since 2015. It's hard to believe that he's only been performing live for about a year from 2019, but the stage works he's been creating are a format that allows him to relativize himself as others while directing others. And it's a satisfying level of perfection considering that composing music has a similar nature, but still , the mystery that remains is the key.

2015年より、自身が制作する舞台作品の中で使用する音楽の作曲や演奏を行ってきた鈴木健太のファースト音源。ライヴ活動を始めて１年ほどというのは俄かに信じ難くも、彼が制作してきた舞台作品とは、他人を演出しながら、自分も他人のように相対化できるフォーマットであり、また、作曲することも似た性質を持っていることを考えると納得できる完成度です、がそれでもやはり残る不思議さと謎が肝であります。

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2019年の秋に音楽家のグルパリに誘ってもらって、はじめていわゆる音楽のライブに出演しました。これはその時にあわせて、友達に録音してもらってできた1枚目のCDです。

一曲目は2015年にはじめて作った舞台で使った曲でした。また、曲と呼べるものができたのかもしれない、と最初に思えたものです。たぶん2013年か2014年くらいの朝方、玉川上水の沿道を歩いたときに原型ができ、それからずっと、特に発表の予定もなかったけど、ちょっとずつ変えて家で弾いていました。それがこの頃、なんとなく落ち着いたので、音源にしてもいい、と思いました。

二曲目は2018年に、グルパリの個展とパフォーマンスを企画した時にできました。その頃はグルパリが演奏する姿ばかりみてみました。

三曲目は保坂和志の小説からタイトルを引いています。いつ出来たのか覚えていません。2017年に舞台で使ったからその前か。

四曲目は、これも2018年に企画した、吉原航平という画家の個展が終わった日、搬出のため車にたくさん絵を載せて、夜道を走ってる時に助手席に座る吉原さんへ、この世でいちばん後世まで残る可能性を持った媒体はなにか、というようなことを尋ねたら、返ってきた言葉をタイトルにしてできました。これがこの中でいちばん新しい曲でした。

書いたように、このアルバムはあまり組み合わせを考えて作られたものではなく、また一曲目を筆頭に、どれもどこか別のところにいくとは思っていなかった、自分が部屋で弾いているだけというものが、いくらかの他人に会ううち引きづりだされた形です。先に発表の場や相手がいる場合もありますが、そういうときでも曲は、歌うためにつくるというより、できたということはわたしがこれを歌うんだなと、自分に突きつけられた相手のような心持ちで接していられたらいいなと思います。

（鈴木健太）

演奏　鈴木健太 Performed by Kenta Suzuki

録音　高良真剣

プロフィール

2015年より制作する舞台作品の中で使用する音楽の作曲や演奏を行う。

2019年よりライブイベントに弾き語りで出演する。

そのほかに展示企画、グラフィックデザイン、障害者のヘルパーなど。